最近、「＋1(800)」や「＋81 80」といった国際番号から、中国語の自動音声がスマートフォンに届くという事例が急増しています。
「公安」「大使館」「緊急手続き」といった言葉に驚いて、つい電話に出たり、折り返してしまった…という方も多いのではないでしょうか。
実はこれ、国際的な詐欺グループによる巧妙な手口で、日本国内でも被害が相次いでいます。
この記事では、その正体と仕組みを明らかにし、今すぐできる対策や、家族で共有したい予防策までを徹底的に解説します。
知らない番号に出る前に、一度この記事を読んでから判断してください。
＋1(800)や＋81 80からの中国語電話って何？詐欺の可能性は？
最近、スマートフォンに見慣れない番号から中国語の音声が届くという相談が急増しています。
特に「+1(800)」や「+81 80」といった番号は、一見すると公的機関や大手企業からの着信に見えるため、戸惑う人も多いはずです。
この章では、実際にかかってくる電話の内容や、なぜ同じようなメッセージが異なる番号から届くのかを解説します。
最近よくある中国語音声の着信内容とは
突然、スマホから中国語の自動音声が再生され、「緊急のご案内です」「公安局からの連絡です」といった言葉が流れるケースが目立っています。
一部のメッセージでは、「0を押してください」「本館に連絡してください」など、受信者に行動を促す指示が含まれています。
これらはすべて、詐欺グループによる自動発信型の詐欺電話である可能性が非常に高いです。
なぜ複数の国番号から同じ内容が届くのか
「+1」はアメリカやカナダ、「+81」は日本の国番号ですが、内容はどちらも同じ中国語のメッセージというのが特徴です。
これは、詐欺グループがVoIP（インターネット電話）を使い、発信元の番号を自由に切り替えているためです。
複数の国から同じ内容が届くのは、詐欺成功率を高めるための演出であり、決して偶然ではありません。
| 発信番号 | 見かけの国 | 詐欺グループの狙い |
|---|---|---|
| +1(800) | アメリカ・カナダ | 信頼性の演出（カスタマーサポート風） |
| +81 80 | 日本国内携帯風 | 国内発信に見せかけ、安心感を演出 |
中国語詐欺電話の仕組みと目的をわかりやすく解説
この章では、中国語の詐欺電話がどのような仕組みで発信され、どのようにして被害者を狙ってくるのかを詳しく解説します。
内容が不自然なのに、なぜ信じてしまう人がいるのか？その秘密に迫ります。
使われている番号の種類とその意味
よく使われる番号は、「+1(800)」「+81 80」などですが、実際にはこれは“見せかけの番号”です。
詐欺業者はVoIPを使い、発信元を自由に設定しているため、アメリカからのように見せて日本国内から発信していることもあります。
番号の表示は信用できないという前提で行動することが重要です。
音声メッセージに含まれる「危険な誘導フレーズ」とは
メッセージには、「0を押してください」「緊急手続きの案内です」など、受信者を焦らせる言葉が多数含まれています。
これは、冷静さを失わせ、指示に従わせるための心理的テクニックです。
以下のようなフレーズが聞こえた場合は、詐欺の可能性が高いです。
| 音声フレーズ（中国語） | 日本語訳 | 目的 |
|---|---|---|
| 预约咨询请按铃 | 予約相談はベルを押してください | ボタン操作を誘導 |
| 线上预约请按0 | オンライン予約は0を押してください | 個人情報入力を誘導 |
なぜ不自然な中国語を使うのか？詐欺の心理戦略
一見すると不自然で意味が通じない中国語が使われていることもあります。
これは、わざと翻訳が難しい曖昧な言い回しを使い、受信者に「調べさせる」ことで検索行動を誘導するテクニックです。
検索すると、関連ワードを元にさらに詳しい詐欺電話や偽サイトに誘導される危険もあります。
不明瞭な情報＝詐欺のサインと覚えておきましょう。
電話番号はどうやって漏れるの？情報流出の3大原因
そもそも、なぜ詐欺グループはあなたの電話番号を知っているのでしょうか？
「どこかで漏れたのかも…」という不安を抱いたことがある方のために、この章では情報が流出する主な経路をわかりやすく解説します。
企業からの流出と内部犯行の実態
実は、企業の内部から個人情報が持ち出されるケースは珍しくありません。
たとえば、過去には大手通信会社の関連企業で、派遣社員が数百万件の顧客情報を不正に持ち出す事件が発生しました。
こうした情報は名簿業者に流され、さらに詐欺グループへと渡っていきます。
| 流出経路 | 説明 | リスクレベル |
|---|---|---|
| 内部犯行 | 従業員がデータを持ち出し闇取引 | 非常に高い |
| 管理ミス | アクセス制限や監視体制の甘さ | 高い |
| 外部委託先から漏洩 | 外注企業のセキュリティが甘い | 中〜高 |
SNSやアプリを通じた流出経路
SNSや無料アプリへの登録情報が漏洩するケースも多く報告されています。
特に「電話番号を公開」設定にしていたり、怪しいアプリにアクセス権限を許可してしまうと、データが外部に送信されてしまう危険があります。
登録したつもりが“配布”していたという事例も少なくありません。
フィッシング詐欺による個人情報収集の手口
「宅配便の不在通知を装ったSMS」や「当選のお知らせ」など、クリックを誘う偽メールから誘導される詐欺サイトも要注意です。
これらのサイトで電話番号を入力すると、知らないうちに名簿に登録されてしまいます。
あなたが“自ら渡した情報”が詐欺の材料になるということを意識しておきましょう。
実際に起きた詐欺の事例とその手口
単なる迷惑電話ではなく、詐欺グループの“ビジネス”として組織的に行われていることをご存じですか？
この章では、日本国内で報告された被害事例とともに、詐欺電話の手口をリアルに再現します。
日本国内で確認された主な被害例
2024年には、富山県で中国籍の男性が「公安から逮捕状が出ている」と脅され、約2760万円をだまし取られる事件が発生しました。
東京都内でも、「あなたの口座が犯罪に関与している」と言われ、複数人が送金してしまう被害が確認されています。
多くの被害者が「まさか自分が…」と話しており、詐欺の巧妙さがうかがえます。
詐欺師が使うVoIPとSMSの連携トリック
詐欺グループは、電話だけでなくSMSやWebサイトを組み合わせた“複合型詐欺”を展開しています。
たとえば、電話で不安を煽りつつ、SMSでURLを送って偽サイトに誘導し、そこに口座番号や個人情報を入力させるといった手口です。
単体の手法ではなく、シナリオで攻めてくるのが今の詐欺の特徴です。
「折り返し電話」で始まる詐欺の流れ
「見慣れない番号からの着信に出られなかった」──そう思って折り返す行動が、詐欺の第一歩になることがあります。
折り返すことで相手に「この番号は反応した」と記録され、再ターゲットとしてマークされてしまいます。
反応した時点で“次の攻撃候補”に登録されるのです。
今すぐできる実践的な詐欺電話の対策
怪しい電話がかかってきたとき、最も大切なのは「慌てず、反応しない」ことです。
この章では、日常生活の中で今すぐ取り入れられる、具体的で効果的な詐欺電話対策をご紹介します。
「出ない・折り返さない」が基本ルール
知らない国番号からの電話は、基本的に出ない・折り返さないのが鉄則です。
一度でも反応すると、詐欺グループの「アクティブな番号」としてリストに登録される危険性があります。
反応しないだけで、被害を大幅に防げます。
スマホでできる着信拒否と通報の方法
不審な番号が繰り返し着信してくる場合は、スマートフォンの設定で着信拒否をしましょう。
さらに、ネットで番号を検索すれば、同様の報告がないかを確認できます。
迷惑電話ブロックアプリの活用も非常に効果的です。
| 機種 | 着信拒否の手順 |
|---|---|
| iPhone | 電話アプリ → 最近の通話 → 「i」→「この発信者を着信拒否」 |
| Android | 通話履歴 → 番号を長押し → 「着信拒否」または「ブロック」 |
頼れる相談窓口と正しい対応手順
少しでも不安を感じた場合は、すぐに公的機関に相談しましょう。
警察相談専用ダイヤル「#9110」や、消費者庁の「188（いやや）」は、全国どこからでも相談可能です。
「一人で悩まない」が最大の防御になります。
被害に遭ってしまったら？すぐ取るべき対応
万が一、電話での指示に従ってしまった場合でも、冷静に対処すれば被害を最小限に抑えられます。
この章では、被害直後にやるべき行動と相談先、そして二次被害を防ぐポイントを解説します。
被害直後に確認すべきチェックリスト
詐欺電話だと気づいた瞬間、以下の行動をすぐに取りましょう。
| 行動項目 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 送金・入金の停止 | 利用銀行に連絡して振込停止を依頼 |
| 証拠の保全 | 通話履歴・SMS・録音などは削除せず保存 |
| 家族の確認 | 同様の電話が家族に届いていないか確認 |
証拠の保存と相談先の使い方
通話履歴や音声メッセージ、SMSの内容は、証拠として非常に重要です。
絶対に削除せず、スマートフォンに保存しておきましょう。
「#9110」では各都道府県の警察相談員が対応し、「188」では消費者トラブル全般の相談ができます。
| 相談窓口 | 内容 | 対応時間 |
|---|---|---|
| #9110 | 詐欺・迷惑電話に関する警察相談 | 平日 8:30〜17:15 |
| 188 | 消費者ホットライン（詐欺・悪質商法） | 土日祝も一部対応 |
二次被害を防ぐために注意すべきこと
最近では「返金代行」「調査サポート」などと称して、さらに詐欺を仕掛ける“二次詐欺”も増えています。
正規の機関であれば、SNSやメール、電話で個別に「返金」などを提案してくることはありません。
「詐欺被害者」を狙う詐欺があるということも覚えておいてください。
家族で守るセキュリティ対策と意識づけ
詐欺電話の多くは、「知識があれば防げる」ものばかりです。
しかし、スマートフォンに不慣れな高齢者や、言葉の壁がある留学生などは、詐欺の標的にされやすい傾向があります。
この章では、家族全員でできる予防策や、詐欺被害を防ぐための意識づけのポイントを紹介します。
高齢者・留学生が狙われやすい理由
詐欺グループは「社会的に孤立しやすい層」に狙いを定めています。
高齢者は「大使館」「公安」などの言葉に威圧されやすく、判断力が低下している時間帯を狙って電話してくることもあります。
また、留学生は言語の違いや文化的な背景から、不安を感じやすく、指示に従ってしまうケースも少なくありません。
不安につけこむ言葉は、詐欺の常套句だと認識することが重要です。
家族間で共有すべき「詐欺チェックリスト」
家族で事前に「こんな電話が来たらこう対応する」と話し合っておくことが、最大の予防策になります。
| チェック項目 | 具体的な内容 | 対応ルール |
|---|---|---|
| 知らない国番号からの電話 | +1や+81以外の国番号 | 出ない・折り返さない |
| 中国語の音声メッセージ | 「公安」「本館」「緊急」などの単語 | すぐ切る |
| 個人情報を尋ねられる | 口座番号やパスポート番号 | 絶対に答えない |
| 送金を求められる | 「手続き」「保証金」などの名目 | 即拒否・家族に相談 |
おすすめの迷惑電話対策アプリと活用法
スマートフォンに対策アプリを入れておくだけでも、被害を防げる可能性は大きく高まります。
特に高齢の家族には、アプリの設定までサポートしてあげるのが理想です。
| アプリ名 | 特徴 | 料金 |
|---|---|---|
| Whoscall | 世界中の迷惑電話情報と照合 | 無料（有料プランあり） |
| TobilaPhone | 日本国内の迷惑番号に強い | 月額330円〜 |
| 迷惑電話ブロック（NTT） | 固定電話にも対応可能 | 月額220円 |
まとめ ― 中国語電話は完全に無視してOKな理由
ここまで見てきたように、「+1(800)」や「+81 80」からの中国語音声は、ほぼすべてが詐欺目的で発信されたものです。
最後に、なぜ“無視”こそが最強の対策なのか、その理由を整理しておきましょう。
「正規機関なら電話しない」基本を覚えよう
中国大使館や公安局が、個人に自動音声で連絡することは絶対にありません。
たとえ「本物っぽい」内容でも、正式な連絡は書面やメールで届くのがルールです。
電話＝詐欺と疑ってかかるくらいがちょうど良いのです。
反応＝再ターゲット化と考えるべき理由
電話に出たり、ボタンを押したり、折り返しをすると、あなたの番号が「有効なターゲット」として記録されます。
それにより、さらに多くの詐欺電話やSMSが届くようになる可能性が高まります。
「何もしない」が、もっとも強い防御手段であることを忘れないでください。
