Windows 11を起動した際、「Your PIN is no longer available」というエラーメッセージが表示され、通常通りにログインできない現象が報告されています。この記事では、2025年4月24日時点の最新情報をもとに、考えられる原因とその対処方法を、わかりやすく時系列で紹介します。
エラーの発生要因について
主な要因は、Windows Helloで使用されているPIN情報が破損し、認証機能が正常に機能しなくなることです。
Windows 11では、従来のパスワードではなくPINコードで手軽にサインインできる仕組みが導入されていますが、大型アップデートの影響やセキュリティ更新の不具合により、PIN関連のデータが保存されているNGCフォルダが正しく読み込めなくなるケースがあります。特にアップデート直後にこのエラーが頻発している傾向があります。
対処法1：Microsoftアカウントで新しいPINを設定
ログイン画面で「PINを忘れた場合」を選択し、Microsoftアカウント経由で再設定する方法が最も手軽で効果的です。
「I forgot my PIN」をクリックすると、Microsoftアカウントでの認証が求められます。ログイン後に新しいPINコードを設定することで、問題が解消されるケースが多く、難しい設定に入る前にまず試してみるべき方法です。
対処法2：直近のWindows Updateを削除
エラーの原因が最近のWindowsアップデートにある可能性もあります。不要な更新を削除することで、問題が改善する場合があります。
まずは「Win + I」で設定を開き、「Windows Update」→「更新履歴」→「更新プログラムのアンインストール」へ進み、最近適用された品質更新プログラムを選んで削除してください。設定画面に入れないときは、ログイン画面でShiftキーを押しながら再起動し、Windows回復環境（WinRE）から「トラブルシューティング」→「更新プログラムのアンインストール」で同様の操作を行います。
対処法3：新しく入れたアプリを削除
不具合が発生する直前にインストールしたアプリケーションが原因となっている可能性も考えられます。
「設定」→「アプリ」→「インストール済みアプリ」から、最近導入したプログラムを選んでアンインストールしてください。通常の画面で作業できない場合は、セーフモードでの起動後に削除作業を行うことも可能です。専用のアンインストールツールを使用すると、関連ファイルごと一括で削除できます。
対処法4：NGCフォルダの削除と再構築
PINに関する設定ファイルが保存されているNGCフォルダを一度削除し、再構築を促すことでエラーが解消されるケースもあります。
Shiftキーを押しながら再起動してWinREを起動し、「トラブルシューティング」→「詳細オプション」→「スタートアップ設定」→「再起動」でセーフモードに入ります。その後、エクスプローラーから「C:\Windows\ServiceProfiles\LocalService\AppData\Local\Microsoft\Ngc」フォルダを削除してください。再起動後に新たなPINを設定すれば完了です。
対処法5：TPMの設定確認とリセット
PINエラーの背景にはTPM（Trusted Platform Module）の構成異常が関係していることもあります。
PCの起動直後にF2やF10などのキーでBIOS画面を開き、「Security Device」や「TPM State」などの項目が有効になっているか確認してください。すでに有効になっている場合は、Windows 11の設定内にある「セキュリティプロセッサのトラブルシューティング」からTPMをクリアし、再起動後にPINを再設定する手順を行ってください。
対処法6：Passwordlessログイン機能の解除
レジストリエディタを活用してPasswordless（パスワードなし）サインイン機能をオフにすると、パスワードによるサインインが再び利用可能になります。
まず、Shiftキーを押しながら再起動してWinREを起動し、「コマンドプロンプト」を開いて「regedit」と入力してください。次に「HKEY_LOCAL_MACHINE」を選び、「ファイル」→「ハイブの読み込み」をクリックして「C:\Windows\System32\Config\SOFTWARE」を読み込みます。この際、任意の名前（例：NewKey）を設定し、「NewKey\Microsoft\Windows NT\CurrentVersion\PasswordLess\Device」にある「DevicePasswordLessBuildVersion」の値を「0」に変更します。その後、ハイブをアンロードし、PCを再起動してください。これで、パスワードでのログインができるようになります。
対処法7：PCの初期化で復旧を図る
他の解決策で効果がない場合、Windows回復環境（WinRE）からPCのリセットを行うことで状態をリフレッシュできます。
「トラブルシューティング」→「このPCをリセットする」を選択し、「個人用ファイルを保持する」オプションを選べば、データを残したままシステムの設定のみを初期化できます。リセット完了後は再セットアップ画面が表示され、新たにPINを設定できる状態に戻ります。ただし、この作業は時間がかかるため、最終手段として推奨されます。
よくある質問とその答え
Q1：なぜ突然PINが使えなくなるのですか？
→ システム構成ファイルの破損、Windows Updateの不具合、NGCフォルダの構成エラーなど、複数の技術的な要因が絡むと発生することがあります。
Q2：パスワードによるログインへ切り替えるには？
→ Passwordless機能を無効化することで、パスワード入力欄が再び表示され、パスワードでのサインインが可能になります。
Q3：TPMとはどのような機能ですか？
→ TPM（Trusted Platform Module）は、暗号キーの保管や認証機能を安全に管理するためのセキュリティ用チップです。Windows Helloなどの認証技術の基盤として使用されます。
総まとめ
「Your PIN is no longer available」と表示される問題には、複数の段階的な対応策が用意されています。
最初はMicrosoftアカウントでのPIN再登録を試し、改善しない場合はWindows Updateのアンインストール、不要アプリの削除、NGCフォルダの手動削除、TPMの設定確認、レジストリ編集といった順で対処していくのが効率的です。それでも解決できない場合は、PCのリセットによる再構築を検討することで、再び通常通りのログインが可能になるでしょう。
